黒愛−kuroai−
 


ブタ子を視界の隅に捕らえながら、菜緒に突っ込まれていた。



「大声で言わなくても知ってるって。耳キーンてなったよ」



「あ、ゴメーン。
つい嬉しくて、叫びたくなって…」




見てる…

机7つ先から、ジットリ妬む視線を感じる。



悔しいだろうね。

柊也先輩が彼女と別れたと知り、喜んだ途端に私が現れた。



天国から地獄へ?
フフッ 歯ぎしりの音が聞こえそう。




自慢の長い黒髪に櫛を通しながら、鋭い視線の発信源をチラリ見た。


ブタ子と3秒視線を合わせ、向こうが先に逸らした。




私の勝ち。

“勝者と敗者”
2人の間に黒線が見える。

優越感って…
こんなにもキモチイイ…




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