黒愛−kuroai−
 


 ◇


昼休みになった。

柊也先輩が私のクラスに迎えに来てくれた。



「愛美!」


ドア前で名前を呼ばれ、お弁当を手に急いで彼に駆け寄る。



もう“ちゃん”付けでは呼ばれない。

私達の仲はどんどん深くなる。



ブタ子を始め、数人の女子の視線が、背中に刺さる。


いいね、このチクチク感…
最高にキモチイイ…




向かった先は“生物化学室”

ここはすっかり2人の秘密基地みたいになっていた。



誰も来ない。
涼しくて静か。


イチャイチャする2人を見ているのは、人体模型のミツオ君と、ホルマリン浸けの蛙だけ。




床に座り、楽しくお弁当を食べる。

その後は甘い時間。



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