誰よりも優しい総長様
あたしはとりあえずその場から逃げるように卯月の家に向かった。
インターホンを鳴らせば卯月は焦りながら出てきた。
「柚那ちゃん、あたしの部屋行ってて?飲みもん持っていくから。」
「うん。」
そう言うとあたしは慣れた足取りで卯月の部屋に行った。
中に入れば、ベッドやテーブルなどの必要最低限のものだけがあり、相変わらずモノトーンで揃えられていた。
カチャ
「柚那ちゃん、適当に座って。」
そう言われてあたしはテーブルの側に座った。
「んで、何かあったからここに来たんだよね?」
そう言って卯月はあたしの隣に座った。
コクン
「話せる?」
そう言われてあたしは卯月にさっきまでのことを話した。
話してる間もやっぱり涙は止まることを知らなかった。
そんなあたしの背中を卯月はずっとさすってくれていた。