誰よりも優しい総長様


教室に入って向けられるのはやたらと多い視線。


まぁ、無理もないよね。


去年は真面目なクラスにいたあたしが急にこっちの族のクラスに来るんだもん。


あたしはとりあえず卯月に席を教えてもらい座ろうとした。


でも、それは不可能だろう。


だってあたしの机にはたくさんの奴らが溜まってるから。


まぁ、正確に言うならあたしの席の隣と前かな?


そんな時あたしは誰かに肩を支えられた。


視線を移せばそこには微笑む卯月の姿。


「ちょっとー、そこどいてくんなきゃゆずちゃんが座れないじゃん!」


そう言って溜まっていた人達は一瞬あたしを見た。


「あ、ありがとう。卯月。」


「いいよ、こんなことぐらいさ。」


そしてあたしはようやく自分の指定された座席につくことができた。


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