逢いたい~桜に還る想い~

「────で?」


…………、質問戻ってきちゃった。


あたしは仕方なしに、色々思い浮かべながら、


「えーっと……教職を沢山取ってて……、

ピアノとかの実技試験も……、
調理学や被服科学の実験レポートも……、
浴衣の課題提出も……、
ゼミの中間発表もあってメチャクチャ忙しくて……。

他の前期試験も落としたくないし……。

通学時間も惜しいと思ってたら、
姉の先輩が──裏門から割と近い所に住んでて──『旦那が長期出張してるから、部屋空いてるし、おいで』って言ってくれて」


一応嘘のない内容を、最もらしくズラズラと並べ立てたあたしに、


「あのねぇ! ────正直に言わないと、……首締め上げて、オトすよ……」


間髪入れず、手の関節をパキパキ鳴らしながら凄む杏崎未桜。


「えっと……本当…だよ…?」


「ホントにそれだけなの? 試験勉強だけが理由なの?

……逃げたんじゃないの? なんで逃げたの?
───安西から」


駅で初めて目が合ったあの時のように、

彼女の瞳が鋭くあたしを睨んだ。



< 265 / 517 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop