逢いたい~桜に還る想い~

────………旅券センターに着き、一緒に車を降りようとすると、

「受け取りは本人じゃないとだめだけど、申請は代理でOKなんだ。

あたし、自分のも、父さん達のも申請したから、1人で大丈夫よ」


またもやそう言って、瑤子ちゃんは旅券センターに入っていってしまった。


1人残されたあたしは───助手席のシートを倒して、目を閉じた。



…………もしかして、さっきの話をしたかったから……かな?

家じゃ出来ない話だし、あたしの様子を見て………


瑤子ちゃんの気遣いを感じながらも────



───“昔”と絡めて………


瑤子ちゃんの言葉に、ギクッとした。


あたしが生きている“現世(イマ)”と“前世(カコ)” は、全く別の物───


そう割り切れたら、どんなに楽だろうか…………


とにかく今出来るのは、前世と絡め過ぎて鬱々しないことと、

ココねーちゃんと赤ちゃんの無事を祈ろう…………






それから3日後─────


そんな願いも虚しく………国際電話を切った母親の口から、静かに吐き出された一言………




「香子────亡くなったって………」






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