逢いたい~桜に還る想い~

    ★    ★


お腹も満たされて、ようやく落ち着いてきたあたしは、

───何も聞かずにそのまま側にいてくれた郁生くんに、少しでも気持ちを伝えたくて。


彼の優しさに、応えたくて。


「うまく説明出来ないと思うんだけど……いい?」

と前置きをして、向き直った。


「うん。取り留めなくでもいいから、さ。

……あまり無理しないで」


そう答えて微笑む郁生くんに、ほっとする。




「あたし……さ、───あの桜ね、あの泉の桜………

“懐かしい”って、思ったの」


「“懐かしい”?」


「小さい頃から、気づいたら、桜の花は特別だった。
桜に魅入られたように、心が吸い寄せられるの。

何か……誰かに呼ばれてるような感覚で───笑われるかもしれないけど……」



そう───ただ単に「好き」というだけじゃ説明つかない感覚があって、

もう物心ついた頃から、吹雪く桜の花びら達に引き寄せられていた。


大事な大事な……まるで、
遠く離れてしまった“恋人”を、恋しく想うような……



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