逢いたい~桜に還る想い~
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お腹も満たされて、ようやく落ち着いてきたあたしは、
───何も聞かずにそのまま側にいてくれた郁生くんに、少しでも気持ちを伝えたくて。
彼の優しさに、応えたくて。
「うまく説明出来ないと思うんだけど……いい?」
と前置きをして、向き直った。
「うん。取り留めなくでもいいから、さ。
……あまり無理しないで」
そう答えて微笑む郁生くんに、ほっとする。
「あたし……さ、───あの桜ね、あの泉の桜………
“懐かしい”って、思ったの」
「“懐かしい”?」
「小さい頃から、気づいたら、桜の花は特別だった。
桜に魅入られたように、心が吸い寄せられるの。
何か……誰かに呼ばれてるような感覚で───笑われるかもしれないけど……」
そう───ただ単に「好き」というだけじゃ説明つかない感覚があって、
もう物心ついた頃から、吹雪く桜の花びら達に引き寄せられていた。
大事な大事な……まるで、
遠く離れてしまった“恋人”を、恋しく想うような……