脱・不幸恋愛体質

何だったんだろう?


私は定位置であるイカ焼きの場所に行くと、蓮は焼きそばとイカを同時に焼いていた。

なんだ、私必要ないんじゃん。

そう思ったものの、店内に戻る勇気など全く無くて、さり気なく蓮の隣に佇んでいた。


「大丈夫なのか?」


「あっ…う、うん。さっきはありがとう」


「別に」

相変わらずぶっきらぼうな話し方。
でも、今はそれが心地良かったりする。


「ごめん、変わるよ」


そう言って、怪我をしていない方の手で蓮の手からトングを貰おうとした。


「お前、何か有ったのか?」


不意に確信をつく質問に動揺丸出しの私。


「!!!えっ、別に…な、なんで?」


冷静さを保とうとするものの、実はさっきのキスの感覚がまだ残ってたりする。

微かに震える唇を、蓮が見過ごす訳が無かった。


「お前が分かりやすいから」


「なっ…!!!」


「イカひっくり返しとけ」


蓮はその言葉を最後に、再び無言になってしまった。


もう、なんなのよ?!


からかうだけからかって、放置していく性格の悪さったら無い。

仕事に専念してやる!!!


< 31 / 124 >

この作品をシェア

pagetop