みあげればソラ


「じゃユキ、家に電話するから」

勝と俺に散々からかわれても、雄一はめげることなく由貴と向き合っていた。

大人になったものだと感心する。

「大学院の試験の手続きもあるし、休みは結構こっち帰ってくる予定なんだ。

ユキも大学受験する予定なんだろ?

また図書館でデートしよう」


確か高校時代も、お金の無い由貴を気遣って図書館デートをしてたって言ってたよな。


「もうお子さまじゃないんだし、図書館ってどうよ?」

事情を知らない勝がちゃちゃを入れる。

「いいんじゃね、いきなり部屋に連れ込まれても困るしな」

事情を知ってる俺は、一応とりなす。

「あら、男ならそれくらい強引じゃなきゃ!

マサル、あんた根性無しね!」

確かにな、二人共もう大人なんだしなぁ。

「ま、でも、避妊はしろよ、避妊は。

ユキにはこれから大学受験っている大きな戦が待ってるんだからな」

「あら、それならそれで産んでから大学行けばいいじゃない。

ジョーってば、固いこと言わないの」

結局、勝に流されて、

「もう、うるさいな、外野は黙ってて!」

ついに切れて、雄一が怒った。


「お、威勢がいいな」


そんな言葉で、自分を言動を正当化する。

やっぱり俺は最低な男だ。
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