みあげればソラ

美亜は結局、高校を辞めた。

怖くて外に出られなくなっちまったのさ。

袴田家の家事全般を担うことで、この家に住まう権利を得た美亜は、主婦としてこの家を取り仕切っている。

母親はほとんど家に居ないし、役にはたたねぇのは自明の理だ。

買い物はネットで出来る時代だし、案外困ることはない。

俺は家計を賄うため、ホストとして働き出した。

職業としてホストを選んだのは、案外俺の性に合っるんじゃないかと思ったから。

俺って見た目派手だし、社交的だし。

それに、夜の仕事は都合が良かった。

昼間は美亜の勉強を見てやることができるしな。

家出の代償が中卒の称号なんて、悲しすぎるだろ?

先ずは大学進学の為の資格を取る。

その後は、いつか外に出れる日も来るかもしれないし、通信制の大学に入るって手もある。

本来、真面目で頭の良い美亜は、俺に促されるまま勉強に取り組んだ。

いろいろ障害もあったけど、高校卒業に合わせるように高等学校卒業程度認定試験にも見事合格した。

まぁ、俺の指導の賜物だけどよ!
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