みあげればソラ

あの時、俺は誓ったのさ。

美亜は俺が絶対守ってみせる、ってさ。

「まったく、どうしようもない売女だね。

もう次の男を見つけたのかい、さすがだね」

「ちょっと、菅野さん、自分の娘にその言い方はないんじゃ……」

保護士の内田さんに窘められて、それでもあの女は美亜を愚弄することを止めなかった。

「あんたも気をつけるんだね。

その女は誰彼かまわず男をハメテ、骨抜きにしちまうんだから」

「菅野さん!」

「その子の見た目に騙されちゃいけないよ!

そいつは魔女さ、悪魔さ、間違いないよ!

一度抱いたらお仕舞いだよ、男を狂わせて、オモチャにするのさ!」

俺の背中で美亜は震えていた。

俺は状況から確信した。

嗚呼……、美亜はこいつの男にヤラレタんだなって。
< 55 / 207 >

この作品をシェア

pagetop