みあげればソラ
果たして自分にそんな能力があるのだろうか?
こんな簡単に他人の行為に甘えて良いものだろうか?
今までの自分の境遇を考えると、俄かには信じがたい高待遇だ。
でも……、と由貴は考えた。
なりたい自分を思い描くと、何だか自分に自信が湧いてくる気がしたのだ。
今、ここに留まることしか出来ない自分がもどかしく、引け目を感じる要因ではなかったか。
将来に希望の持てない自分が惨めで不安だったのだ。
このままではいけない。
このままで良い筈がない。
ふと目を上げると、美亜と目が合った。
言葉を発しない彼女の瞳には、不思議な魔力がある。
全てを肯定する魔力。
『大丈夫だよ、きっと上手くいく、頑張れ!』
その瞳は、そう言っていた。