死の百物語と神は云う。
――――――
――――
――


「……あの、幸恵さん」


 蝋燭を消そうとしたまさに瞬間、坊やに名前を呼ばれ、私は消すのを思い止まってゆっくりと坊やの方を見る。


「何かしら?坊や」

「こんなことを聞いて、気を悪くさせてしまったらすみません……。あの、その話って、幸恵さんの過去の話をモチーフにしているというか……」

「あらっ、そう言われてみればそうね!私の人間“だった”頃の話に似ているわねぇ。――でも、」


 妖艶に笑って見せる。


「――それは、坊やの話もでしょ?」


 二重人格の話……坊やの心の中に潜むもう1つの命(人格)をモチーフにしていたのでしょう?

 あなたは正直者だから……「――僕のことです。」なんて、自分のことを醸し出すように言ってのけたのでしょう?


「それは……」

「ふふふ。まあ、何も追求はしないわ。百物語はまだ始まったばかりなんですもの」


 にこり、微笑んでみせた。


「……」


 ――私が緑色のアイコンタクトレンズをはめた理由……“変わりたい”っていう意味以外に特に意味は無かったのだけれど、私は実は嫉妬深いですようっていうサインの意味にしちゃおうかしらっ♪

 女を泣かせたり怒らせたり妬かせたりしたら……とても怖いことが後々返ってくる!っていうことで★

 ふぅーっ♪



 4本目の蝋燭の火が消えた。
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