死の百物語と神は云う。
 いえ、厳密に言うなら、その子供の皮をかぶったもう1人の子供……。

 その子供は、二重人格だったんです。

 二重人格の裏の人格は、包丁を持って高らかに笑っていたそうです。


「やった!死んだ!やっと死んだ!」

 ……と。


 今までの生活のその子供は、どちらの人格だったのでしょうか。

 表だったのか、裏だったのか。

 結局は分からないままですが、「“やっと”死んだ」ということは、前々から殺そうとしていたのしょうか。

 前々から殺そうと色んな手を尽くしてきたのでしょうか。

 仲が良かったのは偽りで、本当は殺伐としていたのでしょうか。

 ……え?

 ああ、今のその子ですか?


 ――僕のことです。


 って、言ったら、どうします?

 いやですね、冗談ですよ!

 今はその子、精神科の病院で入院しているそうです。

 事件発覚後、表の人格に戻ったその子は、ショックで自殺しようとして、そのまま意識不明のままだそうですから。

 これで僕の話は終わります。

 ふー……。



 2本目の蝋燭の火が消えた。
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