死の百物語と神は云う。

〇3:ストーカー

【高崎健吾】


 次は俺の番だな。

 ……え?俺の話はちゃんとホラーなのかって?

 相変わらず久遠は失礼な奴だな!ちゃんとホラーだ!それに間違いはない。

 俺が話すのは――ストーカーの話な。


「それって健吾自身の体験談?」


 久遠が冷ややかな目で見てきたので、俺はがっくしとうなだれた。


「俺はこの方、ストーカーをしたこともされたこともないぞ!」

「嘘つき。亜希のことストーカーしてたでしょ」

「なっ?!なななっ、なんのことかなぁ?」

「この変態!」


 みんな、そんな目で俺を見るなよ!

 本当にしたこともされたこともないって!

 亜希ちゃんをつけていたように見えたなら、それは偶然だっ!

 本当だって!

 ……はぁ、話す前に疲れた。

 ……それじゃあ、話すぞ?

 ちゃんと聞いとけよ?

 ――とある女性には恋人がいた。

 優しくて、頼りがいのある奴な。

 けれど、同時にストーカーの被害者でもあった。

 無言電話を始め、悪質な手紙が届いたり、ずっと視線を感じたり……そんな毎日を過ごしていた。
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