【企画】生徒会シリーズ2~やっぱり気持ちが大事です~
やっぱり気持ちが大事です

「今年はお世話になった各所に、我が生徒会でカレンダーを配ることになった」


 11月。
 生徒会にとって最も忙しい学祭が過ぎ去った。
 フェアトレードの新境地、ゴディバのチョコバナナは会計上実現をみなかったものの、チャレンジ精神旺盛な生徒会長、甲賀 博巳(こうがひろみ)は、更なる一手、ホットケーキトッピングレボリューションを目玉にして大いに賑わいを見せ、生徒会長自ら宣伝塔に立ち、画して大成功に終えたのだった。

 会計の集計、総括の傍ら、本日も絶好調な生徒会長は何の躊躇いもなく高速道路の合流地点の如く自然に且つ滑らかに、明らかに温度さを感じる話題をぶちこんできた。
 つまり、道路に車と同じスピードで船を走らせたに等しい強引さである。


「……会長、総括…」
「新井田くん、無駄。会長の中ではもう学祭は終わったみたい」


 一年生の生徒会書記、新井田 透(にいだとおる)に、生徒会副会長の小山 玲二(こやま れいじ)は口許を緩めて掌を軽く振った。

 同じく一年生の生徒会書記、笹枝 莉子(ささえだりこ)は、反射的に会計、橘 佳子(たちばなよしこ)に視線を向けるが、橘はノートにペンを走らせ、時おりストレートな黒髪を耳に掛けている。
 つまりいつも通りである。

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