彼女の恋~小指の赤い糸~
私は唇を噛み締めて俯いた。
主任が言っている事は正しい。
主任を巻き込んだのは事実で。
こうなるって予測出来なかった。
「黙ってないで何か言えよ」
言えない。
好きだなんて……。
課長は別れてくれないなんて言ったって主任だってきっと困る。
「言いたくないです」
俯いたまま答えた。
「はぁ……。
いいかげんにしろ」
低く苛立ちを感じさせる声。
「中島さんが何も言ってくれないなら直接、電話をして訊いてみようか?
今、中島さんと一緒に居るって言ったら課長は驚くだろうなぁ」
そんな事、駄目っ。
「お願いだから課長に電話なんてしないで」
「これが最後だ。
話してくれないなら課長に電話をする。されたくないなら……。
全部、話してほしい」
追いつめられて、もう後がない。
話すしかない……。