幻物語
「どこへ行かれていたのですか…?」


屋敷へ戻ると箇月さんに呼び止められた。


「日和を都に案内していたのだよ。」



すると後に続いて出て来た龍座さんが血相を変えた。


「ご自分の立場を分かっておいでですか?!あなたは……」

その時、箇月さんが龍座さんの肩をがしりと掴んだ。


「紫様、あれ程申し上げた筈です。お忘れにならないで下さい。」


「すまない…」


紫さんは黙って自室へと向かってしまう。


「紫さん…!」


追いかけようとする私の行く手を龍座さんが阻止する。


「日和さん、追ってはいけません。」


「あの…紫さん、何か悪いことしましたか?ただ私を都に案内しようと連れて行って下さっただけで…」


「とりあえず、今日はこのままお一人で




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