幻物語
「嬉しかっ…た?」


気付けば人の少ない通りに差し掛かっていた。


「だって…君が…あんまりにも純粋そうだから……」


「えっ……?」


一瞬呟いた一言が聞き取れなかった。


「紫さん…!?」


突然紫さんが立ち止まった。そしてはっとしたように言った。


「少し遠くまで来過ぎてしまったようだね…急いで戻ろう」
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