幻物語
私に気を遣っているのは紫さんの方じゃないかな・・・


昨夜のことを思い出していた。



「過去の世界を変えて欲しい・・・それ故そなたを呼び出した。」


「どういう意味ですか・・・?」


「実は近い未来にとても大きな邪気が近付くのを感じるのです。」



箇月さんが重い口調を開いた。


夜風が一層激しく吹雪きだす。



「邪気・・・・・・?」


「えぇ。知り合いの陰陽師や祈祷師達にも協力して頂きましたが、残念ながらどの者も詳しいところまで透視することは不可能だったのです。それだけ手強い相手であるから我々が本気で力を合わせなければ対処することは難しいでしょう。」


落ち着きを放ちながら語る龍座さんの手首の黒い数珠がそっと揺れた。


「そこで浮上したのが日和さんだったのです。あなたが何かしら邪気を食い止める手掛かりを持っています。もし、阻止することが出来なければあなたの未来にもその邪気は追ってくるでしょう。箇月が透視した未来の世界で日和さんが一番邪気と関わる人物であったのです。」



「私・・・が・・・!?どうして・・・・・・?」


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