幻物語
手掛かりを持っているとはいえ、それが分からなければ意味ない訳だし。


問題が解決すれば元居た世界に帰してくれるって言ったけど・・・


「どうしろって言うのーーーーー!もう!」


中庭から少し離れた野原に腰を降ろす。





あのバナーをクリックしなければ・・・


あのバナーさえ見なければ・・・





「大体男性恐怖症なのに男の人と過ごすなんて!」


「それはすまないことをしたね」




背後からの声に驚いて振り向く。


「ゆ、紫さん・・・」


つい先程も聞かれたくない独り言を聞かれたばっかりなのに。


「大丈夫だよ。怒ったりしないから。」


いや、その笑顔が怖いんですけれど・・・。



「どこに行ったのかと思って探してみれば、面白い独り言が聞こえて来たから。」


「・・・ごめんなさい・・・」



タイミング悪過ぎでしょ?


紫さんはまた笑い出した。


「日和と行きたい所がある。付き合ってはくれぬか?」


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