この愛に抱かれて
「ほとに、ありがとうございました」

響子は深々と2人に頭を下げた。


「まぁね、人には色々と事情があるもんさ。言いたくないことだってあるだろうよ。死にたくなる気持ちも分からなくはないけど、こうして何かの縁で助かったんだ。もう少しだけ頭冷やしてみてはどうだい?」



響子は花村房江の話を聞きながら、泣いていた。


房江の大らかな人柄が傷ついた響子をすっぽりと包み込んでいた。


いままで出会ったことのないほどの温かさに、響子の冷え切った思いは堰を切ったように涙となって溢れ出た。


その晩、軽い夜食を食べた後、響子はぐっすりと眠りについた。


母親の、懐に抱かれたような優しい感覚に包まれた 気持ちのよい眠りだった。
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