この愛に抱かれて
「死んじまったら おしまいさ」


房江は池の鯉を見ながらそう言った。



「そうだろ?・・・どんなに惨めでも、生きてさえいたら やり直すことはいくらだって出来る」



「でも・・・」

響子は俯いた。


「幸せになる方法を教えようか?」



「へ?」



「あんたの両親を死なせちまったその男を許すことさ」



「どういうことですか?」



「誰かを恨むってのは、楽なことじゃない。体力もいるし気力もいる。それだけでヘトヘトだよ。
気分的にも辛いことさ。
今まであんたはそれをバネにして生きてきた」



「はい」
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