彼氏契約書
その言葉に思わずプッと吹き出す。

「…食事だけなら」

その言葉の後にハッとする。

初対面の海人に、簡単に約束なんかした自分が驚きだ。


「良かった…じゃあ、約束だよ」

そう言った海人は、名刺を私の手に握らせると、帰って行った。


「・・・・」

私はその名刺をただ見つめていた。



それからどんどん仲良くなった海人との関係。

知人から友人になり、安らげる相手になっていた。


…それでも、どうしても、時々、蒼空とかぶってしまって、

どうしていいかわからない時があった。


「…美緒」

「・・・何?」


「何時日本に帰るんだ?」

「…来年の冬には帰国予定。

いつまでも、自分の我が儘でここにはいられないから。

帰ったら、たくさん仕事が待ってる」

そう言って苦笑い。
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