恋するほど   熱くなる
関根先生のリサイタルは大成功だった。

会場のロビーはごった返していて

マスコミも多かった。

私は叔母が来ていることを知っていたので

舞台裏のメイキングルームで先生に叔母を紹介した。

「関根先生、私の叔母です。」

「並木恵子と申します。美莉が先生のパートナーを務めると聞いて、とても光栄に思っております。」

「初めまして、関根です。並木先生、あなたが美莉にバレエを?彼女は素晴らしい。自分にしっくりくるパートナーはいないに等しかったが彼女はまさに私にぴったりなのです。私の名刺をお渡ししておきましょう。ちょっと失礼。」

関根先生は叔母から少し離れて私を呼んだ。

「美莉、並木先生はもちろんご結婚されているのだろう?」

「いいえ、二年前に叔父と離婚しましたけど、何か?」

「そうか、そうか、いや、ちょっと気になってね。」

私は叔母にロビーにいるからと伝えて

荒木さんがいる方へ戻った。

関根先生は叔母とまだ話しているようだった。

「並木先生、今度ぜひ食事でもご一緒したいのですが、いかがですか?ご連絡先を教えていただけませんか?」

叔母は自分の名刺を先生に渡してお礼を言った。

関根先生と叔母がその後付き合うことになったのを私が知るのはかなり後のことだった。

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