恋するほど   熱くなる
『美莉、リサイタルは最高だった。君の表現力が際立っていた。その素晴らしさに震えたよ。卓巳』

『ありがとう。私は回りの皆の支えに感謝しているの。舞台の上ではパートナーのリードが私に最高の踊りをさせてくれるの。卓巳の腕の中にいる時の私もきっとそうだと思う。美莉』

僕は客席の中に卓巳がいたことに気づいた。

彼がこんな公の場に一人で行動するとは驚きだった。

声はかけずにいた。

リサイタルの後

祝賀パーティーで美莉が紹介した高野涼一はやはり彼女より二歳年下だった。

彼の澄んだ瞳は美莉を見る時熱い眼差しに変わった。

僕はそれを見逃さなかった。

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