恋するほど   熱くなる
「彼はかなり美莉に熱を上げてる。」

「誰のことだ?」

「高野涼一。美莉の相手役で関根先生の愛弟子だ。」

「ほぅ、面白いな。使える材料かもな。」

「須山、おまえってとことん嫌なヤツだな。」

「あっはっは、荒木、俺がバリアーをこのままで終わらせるわけないだろ、わかっているくせに。」

「年内はクリスマス・ライブの他は何も入れないのか?」

「年末年始は四枚目のアルバムを始動させる。」

「次から次へとやるもんだな。」

「荒木、美莉をどこかへ連れて行けないか?海外ならどこでもいい。しばらく卓巳と距離を取ってほしい。」

「須山戦法だな?」

「バカ言え。半分はおまえがけし掛けていることじゃないか、頼んだぜ。」

「わかった。」

僕は確信していた。

美莉と卓巳は離れていても彼らの想いは強くつながっていると。

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