歪ノ櫻(イビツ ノ サクラ)
けれど、私は明日が来ることがとても怖いのです。


この村へ私を迎えに来る人買いが怖いのではありません。

この村から出ることにも抵抗はありません。


怖いのは、身売りが決まった夜から見続けている夢。


それは夜毎はっきりと見えるようになり、昨夜、遂に私は正体を知ってしまったのです。


今夜眠ればどうなるのか、考えただけで震えが止まりません。

どうか今夜、私の話に少しだけお付き合いいただけませんか。



私が眠ってしまわぬように。


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