さみしがりやのホットミルク
「およ? 起きてる?」

「──ッ、」



にゅ、と青空を隠すようにいきなり出てきた逆さまの女の顔に、驚いて息を飲んだ。

だけども起き上がろうとしたからだが軋んで、結局そのままの体勢でいると……その女は自ら動き、今度は俺の顔を横から覗き込むようにしてくる。



「なんだかあちこち痛そうだねぇ、だいじょうぶ?」

「……あ、んたに、関係ない……」

「あっ、しゃべったね! ていうかここあたしの家に行くのに通る道だから、関係なくはないよ?」

「………」



なんだこの女……なんで河川敷の芝生で傷だらけでぶっ倒れてる奴に、こんな普通に話し掛けてるんだ?

俺の不審げな視線に気付いているのかいないのか、その女は隣りでしゃがみこみながら、しげしげと俺の顔やからだを眺めている。



「ねぇ君、隼高の制服だよね? あそこって結構な進学校だと思ってたんだけど、君みたいに土曜の昼間っからケンカしてる子もいるんだねぇ」

「……あんた、誰だよ……」

「あたし? あたしはまあ、通りすがりの女子大生としか言えないんだけどさー」



むむむ、と腕を組みながら、なぜかそいつは難しい顔をしてみせる。

……この女、変だ。俺の中で、変な電波女決定。
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