さみしがりやのホットミルク
そのとき、ぐう、と間抜けな音が、ふたりの間に響いた。

それはまあ、こんな状況にも関わらず存在を主張した、俺の腹の音で。

……そういや今日朝から、何も食べてねぇな。

もうとっくに、昼は過ぎていて。もはや夕方に近いこの時間じゃ、腹が減るのは当たり前か。


思わず片手で腹をおさえると、ぷっと目の前の女が吹き出した。

くすくす、口元に手をやりながら、堪えきれないといったように笑みをもらす。



「ふふっ。お腹が減るなら、元気だねぇ」

「………」

「今日はウチ、オムライスにしようとしてたんだけど……よかったら不良くん、食べてかない?」



ガサ、と手にしていた買い物袋を見せながら、屈託なく笑ったその声に。

俺は気付けば、首を縦に振っていたのだった。
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