さみしがりやのホットミルク
「………」



だけど俺が今言った『ばか』には、侮蔑だとか卑下だとか、そういう見下すような意味は、含まれていなくて。

俺はくしゃりと、彼女の髪に手を乗せる。



「っ、オミくん?」

「……ほんと、ばかだから。見てるこっちが、心配になってくる」



ぽん、ぽん。2回ほどその頭を軽くたたいてから、俺は手を離した。

彼女は俺が触れたあたりに手をやってから、「えへへー」と、やっぱりうれしそうに、笑う。



「オミくんは、いい子だねえ」

「は?! なんでそこで、俺なんだよ」

「だって、うれしいんだもん」



そう言ってふにゃりとした笑顔を向けてくる彼女に、なんだか気恥ずかしくなって。

それをごまかすように、俺は「置いていくぞ」なんて不機嫌そうに言いながら、当初の目的だった女物の服屋へと、足を早めた。
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