さみしがりやのホットミルク
その後は、テレビを観たり、学校帰りに俺がコンビニで買ってきたアイスを食べたりして。

夜もとっぷり更け、そろそろ寝る準備をしようかという時間。



「……あ。そーだオミくん、ちょっと待ってて!」



なぜだか今日も、風呂上がりに「オミくんがドライヤーやってー」と言われ、しぶしぶながらも俺がそれを終えた直後のこと。

俺がドライヤーのスイッチを切ったと同時に佳柄は立ち上がり、クローゼットの中にある自分のカバンを何やらごそごそし始めた。

彼女の申し出を丁重に断り、自分自身で乾かしたまだ湿り気の残る短い髪をいじりながら、ぼんやりその様子を眺めていると。



「じゃじゃーん」



なんだか楽しげにそう言いつつ、佳柄がすとんと俺の前に座り込んだ。

彼女の右手には、小さめの紙袋が握られていて。それをよく見る間もなく、「オミくん、右利きだよね?」とよくわからない質問をされた。



「右利き、だけど」

「ん。じゃあはい、右手出してー」

「なんで……」

「いーから、ハイ!」

「………」



相変わらず強引な彼女に押され、俺は素直に、右手を差し出す。

するとそっと、彼女の小さな手が俺の無骨な手に触れた。



「な……っ、」

「はい、おしまい!」



反射的に手を引きかけるが、佳柄のその言葉につられ、つい、自分の手へと視線を落とす。

彼女の手が離れたそこには、さっきまではなかった、ひんやりした感覚。
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