さみしがりやのホットミルク
ぐるぐる、頭の中で考えながら。無意識に、空いている左手のひらで、彼女の右の頬を包んだ。

何事かと顔をあげた佳柄と、ばっちり、視線が絡まる。



「オミく……」

「………」



自分の左手で、彼女の顔を固定したまま。

ゆっくりと、首をかたむけていく。



「──……、」



驚きに目を見開いている佳柄は、俺を見上げた状態で微動だにせず固まっている。

ゆっくり、ゆっくり。近付いていくふたりの距離。

その近すぎる距離に、目の前の彼女の顔が、ぼやけてきた。

それと比例するように濃くなる、風呂上がりの彼女のあまい香り。


そうしてくちびる同士が触れるまで、あと数センチというところで。

ようやく我に返った俺は、慌ててその手を離す。
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