さみしがりやのホットミルク
「わ、るい。驚かせた」

「ふあっ、え、えっと。だい、じょうぶです」



互いに顔を逸らしながら、どこかよそよそしい会話をする。

俺は口元を片手で隠してから。自分の右手首につけられたブレスレットのことを思い出し、もう1度、彼女へと視線を向けた。



「……これ、ほんとにさんきゅ。大事に、するから」

「あ、へへっ、うん。どういたしましてー」



言いながらはにかむ彼女の頬は、まだほんのりと赤い。

その煽情的なカオから、また視線を逸らして。

そろそろ寝る、と独り言のように小さくつぶやいた俺は、洗面所に向かうため立ち上がる。



「あ、あたしも、」



そう言ってとことこ後ろをついて来た彼女とふたり、歯をみがいて、うがいをして。

部屋の照明を落として「おやすみ」と挨拶を交わしてから、お互いふとんとベッドにもぐりこんで。

そうして目をとじれば、すぐに、金曜日の朝が来る。
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