さみしがりやのホットミルク
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「じゃーん、久しぶりのうさたろうでーす」



クローゼットの中から出したうさぎのぬいぐるみを掲げながら、佳柄がすとんと俺のとなりに腰をおろした。

──あれから、ふたり無言で手をつなぎながら、一緒に佳柄のアパートに戻ってきて。服や髪が土まみれになっていた俺は、とりあえずシャワーを浴びることにした。

そうして部屋着に着替え、ベッドに腰かけていた俺の前に、彼女はあのぬいぐるみを登場させたのだ。

テーブルの上には、救急箱と……ホットミルクの入ったマグカップが、ふたつ。



「あー、なんか、見覚えある気がする」

「ふふっ、あのときあたし、オミくんのこと自分より年上だと思ってたんだよなぁ」



言いながら佳柄が、灰色のうさぎを枕元に置いた。

救急箱からチューブタイプの軟膏を取り出して、人差し指に少し乗せる。



「俺も。……佳柄は、年下だと思ってた」

「あはは。あたし、甘えたの泣き虫だったからなあ。オミくんは、妙に大人びてたし」

「……そーか?」



俺の言葉に、彼女は笑みを浮かべたままうなずいて。

くちびるの横の、殴られたせいで切れてしまった部分に、その指先で薬を塗ってくれる。
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