恋しくて、哀しくて
「おはよう」



謙一さんが、欠伸をしながら、リビングに姿を見せた。



「おはよう」



学は、すでに起きていてトーストを頬張り、私はおかずをお弁当箱に詰めていた。



「今日は学、弁当の日か?」



慌ただしく準備をする私に、謙一さんが視線を送った。



「ええ…。あ、すぐにコーヒーいれるね」



小さなお弁当の横には、2人分のお弁当…。謙一さんがキッチンに来ないように、気付かれないように、すぐに話をそらした。



今日は、一週間ぶりに圭太くんと会う。私は、愛のあざにそっと触れた。もうあざは残っていないけれど、心の奥深くにできたあざは、当分、消えることはない。



一分一秒でも、早く会いたいと思っていた。


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