恋しくて、哀しくて
謙一さんは、お茶をひと口飲み、真っ直ぐに私を見て、話を続けた。



「オマエが…知らない男の運転する車に…乗りこんだ」



「…で?」



「えっ…。そこからは追いかけてないから、わからない」



私は、はぁ~と、わざとらしくため息をついた。


「謙一さん…私のことをいちばんわかってくれているハズだよね?」



「ああ、そのつもりだけど…」



「私が、浮気するような根性あると思う?それ以前に、子持ちのオバサン、誰が相手にするの?」


「………」



私の言葉で、謙一さんは黙りこんだ。



「人違いだよ…。私のこと、信用できない?」



哀しい目で見つめると、謙一さんはひと言「ごめん」と呟いた。



私は、いつからこんな悪女になってしまったのだろうか。



そろそろ、潮時なのかもしれない。



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