恋しくて、哀しくて
夏が過ぎ、秋の訪れを感じても、圭太くんとの関係は続いていた。



「誕生日おめでとう」



日曜日、私は36歳の誕生日を迎えた。家族でケーキを食べながら、ささやかなお祝いをした。



「欲しいもの、ある?」


ケーキを食べながら、さりげなく謙一さんが私に聞いた。



「う~ん…。家族が健康なら、それでいいかな」


「まぁ、それも大事だけれど…。相変わらず物欲ないな」



「僕、弟が欲しい!」



学が、無邪気な笑顔を見せてそう言った。



「…お母さんに聞いているんだよ、学…」



謙一さんが、顔を赤らめながら呟いた。



私は、何も言えずに俯いた。



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