恋しくて、哀しくて
しばらくの間、無言で抱きしめあった。そうすると、気持ちが落ち着き、涙が乾いていった。



「美咲さん」



自分の体から、私を離すと、圭太くんは赤くなった目で、私を見つめた。


「僕は、心から美咲さんが好きやから…幸せな家庭を壊すつもりはない」


最初からわかっていた。この恋に、ハッピーエンドはない…と。



わかっていたのに…バカだな、私。



「ありがとう。私の平凡な毎日を…キラキラにしてくれたのは、圭太くんだった」



圭太くんの乾いた唇に口づけた。



「あともう少しだけ、夢を見させてもらっていいかな?」



私の問いかけに頷くと同時に、2人、ベッドに寝そべった。



圭太くん。
もう少しだけ、甘いときめきを下さい。



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