やばい、可愛すぎ。



「───ま、待って……っ!!」



小さな絞り出すような声とともに、俺の袖そでがぴっと弱弱しく引っ張られる。


不思議に思って、振り返った瞬間───




目の前が、真っ暗になった。





いきなり暗くなったので驚いて、少しのけぞると───それがなんなのか、分かった。


袋、しかも男物のお弁当箱の袋。……なに、俺に見せつけて。


ちょっとだけいらっとして顔をしかめたのも、束の間、俺にそんなものを突き出した当の本人は、



「これ……っ作ってきて……お昼渡しそびれちゃって」




顔を伏せながら、地面に弱弱しく叫ぶ。




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