やばい、可愛すぎ。


そして───最後に机の横にかけられた、お弁当袋に手を伸ばして、ふと止まってしまう。


そう、そこには私のお弁当箱と結局、

今日もお昼に渡すことができなかった、御影くんのお弁当。



ちらり、と横目で御影くんのほうを見る。


これを、渡すなら今だと思った。


今───御影くんに、渡したいって。



「支度すんだなら、帰るよ」



こちらに視線を向けていることに気付いた御影くんは、そういうとくるりと方向転換して足を進めた───そして、


私の足も勝手に、動き出す。御影くんに向かって、走り出してしまう。


止まらない、そのまま御影くんの袖を掴んで───





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