やばい、可愛すぎ。


皐月くんは優しく、指を折り曲げて私の手のひらを握ってくれる。

冷たくて、けれど私には心地いい。


男の子の手は、女の子のように細くもなくて、ごつごつしていて───けれど、不思議と時間がたつほど私の心は安心していく。



「慣れるまで握っててあげるから、ちょっと隣に座るよ」


「ぁ、……う、うん」


皐月くんはそういうと、私の隣まで椅子を持ってきて───握られた手は、すっと私たちの椅子の間に置かれて。



「ゆり、俺手が空いてないからゆりが書いて」


「……うん」


皐月くんがこっちにプリントを渡してくれる。

シャーペンを手に取って、私は


「えっと、……こ、これどうすればいいんだっけ」


「んー?っと、だから、これが」


そういいながら、皐月くんの横顔が私の視界にちらり、と入る。


その瞬間───どきん、と大きく心臓が動く音が聞こえた。……あれ?



< 236 / 514 >

この作品をシェア

pagetop