やばい、可愛すぎ。


「ゆり、どこ見てんの」


「ぇ、あ」


皐月くんが不思議そうに私の顔を覗き込んでくる。

驚いて、私は思いっきり身を後ろに下げると……皐月くんはふぅん、と面白そうに、不敵に笑った後、



「俺に見とれちゃった?」



と、相変わらず意地悪を言ってくる。



「違います、勘違いしないでください」


「嘘、だって俺のほう見てたくせに。素直になりなよ」


「私はいつだって素直ですっ」


「その割に、顔が赤いけど」


「み、見るなっ」


「うっそ、また騙されてやんのゆり」


くううっ。

私は言い返す言葉もなくて、ふいっとそっぽを向く。



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