やばい、可愛すぎ。
「笑うな、ばーか」
「え、笑ってないよ」
「じゃあなんで口元を隠す」
「…………こ、これは別に」
視線をそらしながら、私はまた笑いそうになって慌てて、くっと口元に力を入れる。
皐月くんもこんなふうに、子供っぽいところあるんだ。
……なんだか、うれしい。
少しずつでも、自分のことを教えてくれることが。
「作るよ、とっておきのおいしいやつ」
「……それくらいの作ってくれないと、困る」
「勇気を出して言ったから?」
「…………怒るよ」
触れた手が、温かい。
不思議と、その温かさは安心できた。