やばい、可愛すぎ。


「笑うな、ばーか」


「え、笑ってないよ」


「じゃあなんで口元を隠す」


「…………こ、これは別に」


視線をそらしながら、私はまた笑いそうになって慌てて、くっと口元に力を入れる。


皐月くんもこんなふうに、子供っぽいところあるんだ。


……なんだか、うれしい。

少しずつでも、自分のことを教えてくれることが。


「作るよ、とっておきのおいしいやつ」


「……それくらいの作ってくれないと、困る」


「勇気を出して言ったから?」


「…………怒るよ」


触れた手が、温かい。

不思議と、その温かさは安心できた。




< 239 / 514 >

この作品をシェア

pagetop