やばい、可愛すぎ。


───きっと、おもいだしてくれる……きっと、またぼくの名前を呼んでくれる……そうでしょう?


───きっとこんど、ドアを開けたら……いつもと変わらないおかあさんがいるはずだよね……そう、だよね。



───また、あのやさしいこえで……さつき、ってよんでくれる……。




ひとりで、いたって平気。

どんなくらいところでひとりでお留守番したって、平気。


だから、お母さんがぼくの名前をよんでくれなくたって……




───ううん、平気なんかじゃないっっ!




嫌だ、嫌だ、嫌だ。

ドアを開けたって、微笑むあの笑顔は───他人に向けられたもの。

あのときの、やさしくて安心する笑みじゃなくて───どうしようもなく、変わり果てた笑顔。




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