やばい、可愛すぎ。


だから、うらやましかったのかもしれない。


男なんて苦手で、いつだって震えて、怖いって思っているのに、

それでもなお、俺に手を合わせてきた───ゆりがとても遠くに感じた。



『……やる。

 逃げたって、結果は変わらないもの。

 ……なら、私は、逃げたくない』


今にも壊れてしまいそうなほど、小刻みに震える手。

けれど、彼女の言葉はただ───透き通っていて。まっすぐで。


逃げてしまった、自分にとって。


その言葉は心の奥にズンっと突き刺さった針のように、ひりひりと痛み続けていた。


返事なんて、できなかった。

結局、俺の口から出てきた言葉は───






『……一度は言ってみたいセリフだな』






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