やばい、可愛すぎ。
帰らなきゃ、帰らなきゃ……でも、どこに……?
どこに、帰ればいい?
何もかも、怖くて逃げたくせに。
忘れられるのも、裏切られるのも怖くて、逃げ出したくせに。
それなのに、俺に帰るところなんて、あるの?
「……あーあ…………馬鹿だな、俺」
普段はあんなに意地悪で、冷静で、からかってばかりなのに。
……こんなに、弱虫で───情けないくらいに、弱い。
きっと、ゆりだってこんな俺を知ったら嫌になるだろうな。
「……さむい」
ぶるっと、体が震える。
感覚なんて、とっくにないのに。