やばい、可愛すぎ。
私は今までの出来事をなるべく、冷静に話した。
帰りに、綺麗な女性にぶつかったこと。
そして、その女性の顔を見た瞬間───皐月くんの様子が変わってしまったこと。
皐月くんがとびだして行ってしまってから、探していたとき、とても泣きそうな顔をしていたこと。
それをすべて聞き終えると、いつものおちゃらけた雰囲気をまとっていたはずの高梨くんからは、
そう、あの時───皐月くんが浮かべた表情に近いものだった。
「……そっか」
その意味を受け止めるように、言った。
しばらく、天井を仰いでみた後───すっと視線を私のほうへ戻した。
「……皐月はもともと、人に何かを伝えるのが不器用な奴だからさ」
「……」
「説明を聞きたいのなら───無口なアイツが、たぶん生きている中で一番誰にも喋りたくないこと、今から話さないといけないんだ」
皐月くんが───今まで、ひた隠しにしてきた、こと。
誰にも知られたくなくて、誰にも触れられたくない───そんな、痛み。