やばい、可愛すぎ。
驚いたように、目を見開く表情も、
いじけたように、顔を赤らめる表情も、
最初にあった、あの氷のような表情からは想像できないほど、和らいだもので。
キンコンカンコーン、と鐘の音に俺たちの会話は途切れる。
そこで、あ、と俺は鞄を高梨に任せたままだったということを思い出した。
さすがに、何も言わずに勝手に走ってきたから、きっと
あいつでも怒ってるに違いないし。
「俺、もう帰るから」
「……」
白井は、ぁ、と口をもごもごさせながら、何か言いたげにしている。
が、その反応が可愛くて、もっと困らせてやりたくて、
「男が怖くて一人で帰れないなら、俺が一緒に帰ってやってもいいよ?」
なんて、意地悪なことを言ってしまう。