甘い誘惑~Sweet Refrain~
あっ、でもいらないって言われたらどうしよう?

ここまできたところで、そんなことを考えてしまった。

もういいや!

せっかくここまできたのに、あたしは一体何を思って怖じ気づいているんだ?

たった今買い過ぎてしまったこれを今日の晩ご飯、余るようだったら明日の朝ご飯と昼ご飯にすればいいだけの話である。

あたしはうんと首を縦に振ってうなずくと、
「南方さん」

彼に声をかけた。

南方さんがあたしに視線を向けると、
「フミちゃん」
と、あたしの名前を呼んだ。

「えっと、お疲れ様です」

そう言ったあたしに、
「フミちゃんもお疲れ様。

今、帰り?」

南方さんが聞いてきた。
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